文芸社の本おすすめ隊

本を愛する職場の仲間たちとおすすめの本を紹介!

子どもの目から見た「戦争」というもの

   

お松≫≫
皆さまこんにちは。
8月15日の本日は、71回目の終戦記念日です。
今回は、戦争にちなんだ書籍をご紹介します。
それでは、ご覧ください。

 

夏になると、書籍だけではなく、各メディアで「戦争」というテーマがクローズアップされる。大別するとフィクション、ノンフィクションがあるが、是非をさしこむ余地がないのがノンフィクションであろう。文芸社では多くのノンフィクション≒体験記があるが、その中でも、ある意味、もっともありのままの当時の様子と正直な想いが分かる作品を紹介したい。


「大人」たちが勝手に起こした戦争というものに巻き込まれ、「疎開」という状況に身を置かざるをえなかった「子ども」たちは何を思っていたのかがわかる。

ぼくら鏑川戦争応援団 群馬県富岡町へ
  集団疎開した王子第二国民学校の児童たち

石毛 多喜男(2014/10 文芸社)

「少国民」と言われ、兵隊ゴッコに明け暮れた日々が、食糧が乏しくなり、家や町が破壊されていくと、親元から離され「疎開」する。それは当然つらく、淋しく、不安が募ってくる。それらを救ってくれたのは疎開先・富岡の人々のやさしさと自然。大人たちの言葉を信じて、疎開という「非日常」に置かれた子どもたちの「日常」が描かれている。


上記の作品もそうだが、ここで紹介する書籍にはどれも貴重な資料、戦渦をかいくぐった写真や手紙が載っている。

いのちはどこにありますか? 
  硫黄島 父からの手紙と母のノート

宮﨑 誠(2014/3 文芸社)

昭和20年、硫黄島「方面」で、34歳という若さで戦死した父親から届いた手紙は計42通。家族の健康と無事を案ずる「父性愛」に満ち溢れた手紙を読めば、もう一度、平和を守り抜く大切さを考えさせられる。

そして、昨今、世界遺産に登録された「軍艦島」の戦中の様子は、少し意外な気がする話も含まれていた。

燃ゆる孤島 軍艦島22年間の思い出

内田 好之(2016/3 文芸社)

日本の経済発展を支えた炭鉱の島――軍艦島。石炭運搬船への魚雷攻撃、長崎への原爆投下の瞬間、朝鮮人同級生との別れ……、戦中戦後の「様子」「生活」「文化」を、島民だからこその視点で描いた貴重な体験記録。
(ペンネーム/赤ガッパ)

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おすすめエッセイと詩集

   

お松≫≫
こんにちは♪
本日ついに、関東甲信地方も梅雨明けをして、
久しぶりに気持ちよーく晴れた空に幸せを感じる今日この頃です。
さて!そんな今回のテーマは、「エッセイと詩集」です。
普段は小説ばかり手にしてしまいがちな私ですが、
これを機に、いくつか読んでみたいと思いました*
それでは、ご覧ください。

 

皆さんこんにちは、いしなべです。 私は普段、作者の方に出版のプランのご提案などをしています。 今回は私がオススメの作品を紹介させていただきます!
さて肝心の読書はというと主にエッセイや詩集が好きでよく読みます。 一口にエッセイ、詩集というと形式も作品によって大きく違い、読者は作品の中でそれぞれ作者の人生を垣間見ることができます。失敗談や自慢話、楽しかったことや辛かったことをひっくるめて、新しい視点で物事を見ることができると私は思います。エッセイや詩集は一文一文を自分の人生と重ねたり、時には参考にしたりと人生の実践的な教科書です!

というわけで今回は勝手ながら「一度読んだら忘れられない、エッセイ・詩集」を2作品ご紹介したいと思います。

光と風の旅苞

絵:長縄 眞住 文:長縄 美紀子(2015/10 文芸社)

こちらの作品はご夫婦の合作で、作中ではお二人がこれまでに足を運ばれた世界各国の風景とその地での思い出がイラストとメッセージでつづられています。 柔らかなタッチが特徴のイラストと寄り添うような奥様のコメントが本作の最大の特徴です。普通の詩画集では作画の技法などに目が行きがちですが、本作の焦点はご夫婦の想い出です。その場所・その瞬間にしかなかった想い出が切り取られており、お二人にしか作ることのできないオンリーワンの作品だと感じます。
ちなみに表紙の雪景色はお二人がドイツに行かれた時の作品です。奥様のコメントではその時の気温はなんと氷点下13度とのこと!かなり寒く過酷な環境だと思いますが、温かみのあるピンクと黄色の建物と幻想的な風景とコメントが当時の楽しさを伝えてくれています。旅の行く先に迷われているあなた! こちらの作品の中で気になった風景を見に、旅の計画を立ててみてはいかがでしょうか。

KNOW WHERE

塩飽 雅彦(2012/10 文芸社)

突然ですが、皆さんはご自身の生きる理由について考えられたことはありますか? 本作は作者の塩飽氏が世界60か国を旅する中で『自分が生きる理由』に真摯に向き合った写真詩集です。
もともと私は自然(特に山)が好きでした。なので上司にこの本を薦められた時には何気なくぱらぱらとページをめくり、綺麗なフルカラーの写真に目を奪われました。
そして作品を読み進めるうちに本作のもう一つの魅力気づきました。それは「生きる理由」を自問自答しているかのように見えて、いつの間にか読者にも理由を考えさせる、問題提起をしているという点、作者の生きることに対する強烈な問いかけです。
作品のあとがきでは、作者の塩飽氏が27歳に敢行した登山で命を落とされたこと、その後にご両親・ご友人の協力を得て書籍化に至った経緯が明かされます。 私は作品の中で多くの方にメッセージを伝え、生き続けるという一つの答えが示されているように感じました。

2作品ともエネルギッシュで美しい作品です。 今では私のお気に入りの作品で、デスクに常備してあります。 興味のある方はぜひ一度手に取ってみてください!

余談ですが、エッセイ・詩集は執筆の発端も「自分の足跡をまとめたい」、「日常の記録として」「ただただ、書きたい」などなど人によりけりです。エッセイの執筆は作者にとって結果的に自分が普段気づかなかった新しい価値観に出会ったり、ストレス発散になったり、作者自身に与える効用もあるようです。これをきっかけにぜひ皆さんも一作品生み出してみてはいかがでしょうか。もしかしたら新しい自分が見つかるかもしれません…。 以上です!

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釣り

 

   

お松≫≫
こんにちは。
まだ梅雨も明けておりませんが、30度を超える暑い日が増えてきましたね!
熱中症など対策は万全ですか?
そんな今回は、暑い日々を「涼しく」乗り切るためにぜひおすすめしたい、
「釣り」に関する書籍をご紹介します。
それでは、ご覧ください。

 

140年の観測史上はじめてとなる、8日連続の猛暑日を記録した昨年夏東京。うだるような熱風に音をあげるほかない。頭からは湯気が立ち昇り、うしろを歩く人に蜃気楼を見せていたことだろう。 心身を正常に保とうと自律神経が働き、頭いっぱいに涼やかな渓谷の像が投影される。そんな夢うつつの状態で我が社の書架から選んだ数冊は、すべて釣りにまつわるものだった。気づけば、そのうち2冊はやはり「渓流モノ」である。

渓流に岩魚を追って

香村 努(2008/1 文芸社)

透徹な渓にザブリと半身つかる気分で本を開く。麗しい流線型をした渓流魚を愛する作者らしく、どのページも美文に満ちている。期待どおりの心地よさ。岩魚釣りの極意は、相手に存在を悟られぬことだ。ゆえに釣り人はおのずと自然界に同化し取り込まれようとする。無駄な動きを省き、呼吸を整え――まるで禅のよう。その静けさに体感気温が2℃下がる。

岩魚釣りの旅礼賛

岡村 親宜(2004/9 文芸社)

心の洗滌という位置づけで岩魚釣りをはじめた弁護士による作品。先述の一作と異なるのは、徹底的に源流域だけを攻めつづける姿勢か。誰も辿りつけぬ秘境に棲む岩魚に出会うために、釣り糸を垂れる時間よりもはるか長い時間をかけて山を歩く。おとなの冒険的要素にゾクゾクし体感気温はさらに2℃下がる。

新訳 老人と海

著者:E・ヘミングウェイ 訳者:宮永 重良(2015/4 文芸社)

少し元気になり、心は一気に外洋にまで出る。ヘミングウェイ晩年の世界的名著『老人と海』を、福田恆存訳の新潮文庫版でも小川高義訳の光文社文庫版でもなく、「新訳」と謳う当社発行の野心作で愉しむのだ。手前味噌でなんだけど、カバーはこれがいちばん恰好いい。ヘミングウェイへのリスペクトが前面に出ている。加えて、自身船乗りという訳者が描くディテールは鮮やかだ。少々興奮して体温が上昇したことで発汗し、気化熱により外気が冷えて感じる。よしよし。
かくして私が選んだ夏の3冊は、数日にわたり健康的な「涼」を提供してくれたのだった。

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